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2026-09-22 15:53:00

千代田区の土砂災害警戒区域を、AIエージェントと2往復でつくった話

――AIエージェントと、地図9枚を配れる資料に変えるまで

昨日、区内の土砂災害警戒区域を伝える資料を、AIエージェントと一緒につくりました。 「重ねるハザードマップ」からキャプチャした地図画像9枚を渡してから、 配布できる形に整うまで、思っていたよりずっとスムーズに進みました。

災害対応の時、AIがWeb等の制作でとても役に立った記録として、その過程を残しておきます。

つくったもの

区内9か所の地図を、配布できる14枚の資料に
  1. 制度の説明(警戒区域と特別警戒区域の違い)
  2. 9エリアの一覧と、各ページへのジャンプリンク
  3. エリアごとの地図とGoogleマップへのリンク
  4. 出典の明記
  5. 大雨時の心構え

渡したのは、区内9か所の地図画像だけでした。

AIに任せたこと、自分で決めたこと

最初に渡したのは、地図画像と「出典を明記してPowerPointにしたい」という一文だけでした。 そこから先を、どこまでAIに任せ、どこから自分で決めたのかを分けてみます。

AIに任せたこと 自分で決めたこと
  • 資料全体の構成(表紙→制度説明→目次→エリア別ページ→備え→出典)
  • 配色・レイアウトなどのデザイン
  • 出典の正確な書き方(国土交通省・国土地理院の記載ルールを調べて反映)
  • 各エリアの場所を特定し、Googleマップへのリンクを個別に用意すること
  • タイトルの言葉づかい
  • 最終ページに何を載せるか(問い合わせ先ではなく区のホームページ案内にする)
  • 制作主体をDSC名義にすること
  • 特定のページだけリンク先を大学名に変えること
AIは選択肢を形にしてくれます。でも、何を選ぶかは人の仕事だと、あらためて感じました。

進め方

地図9枚と依頼を渡す
↓
初稿が返ってくる
↓
気になった点をまとめて伝える
↓
反映を確認する
↓
1か所だけ指定し直す

依頼から配布できる形になるまで、往復はわずか2回でした。 細かい指示を一度にまとめて出したのが、よかったのかもしれません。

感じたこと

一番助かったのは、出典表記のルールまでAIが自律的に調べて正しく反映してくれたことでした。 地図や統計を扱う資料は、出典の書き方ひとつで信頼性が変わります。 そこを都度自分で確認せずに済んだのは、時間に追われる中で災害対応をまとめる際に想像していた以上に助かりました。

後から気づいた修正点(制作主体の変更やリンク追加)は、当然ながら最初の依頼には書いていませんでした。 任せる時点ですべてを見通して指示を出す必要はなく、出てきたものを見てから直す―― という進め方でも十分にスムーズだった、というのが今回の実感です。

配布資料

今回作成した資料は、こちらからご覧いただけます。

pdf 千代田区土砂災害警戒区域 (6.81MB)

2026-09-21 17:55:00

千代田区内で公開されている防災・観光・街並みのライブカメラ

――区内で公開されている防災・観光・街並みのライブカメラをまとめる

千代田区内で一般公開されているライブカメラを調べ、一つの一覧にまとめました。区・都が運営する防災用のカメラから、神社仏閣の公式カメラ、街並みを映す個人・団体のYouTube配信まで、性格の異なるカメラが数多く公開されています。

2026年9月時点で確認できたものを、目的別に3つに分けて掲載します。

地図で見る

各カメラのおおよその位置を番号入りのピンで示しています。ピン(または下の表のリンク)をクリックすると配信ページが開きます。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 北 ↑

背景地図:国土地理院(淡色地図)。カメラの案内番号を重ねて表示しています。

区・都の公式カメラ(防災)観光・神社仏閣街並み・交通

※ 番号は名称に基づくおおよその案内位置で、カメラの正確な設置位置・撮影方向を示すものではありません。近接する番号は引出線で配置しています。スマートフォンでは地図を左右にスクロールできます。

区・都の公式カメラ(防災)

千代田区と東京都が、水防・防災の目的で運用しているカメラです。区役所屋上の高所カメラのほか、神田川・日本橋川を映す河川監視カメラが公開されています。

No.名称概要リンク
1千代田区役所 高所カメラ区役所本庁舎屋上の鉄塔に設置された2台のカメラ(北東方向・西方向)。区内全域を見渡せる、区公式の防災用カメラです。見る
2後楽橋(神田川)千代田区が独自に運用する河川情報システムの映像地点の一つ。神田川の水位状況を確認できます。見る
3三崎橋(日本橋川)同じく区の河川情報システムの映像地点。日本橋川の状況を確認できます。見る
4神田川・飯田橋 河川監視カメラ東京都建設局が設置する河川監視カメラの一つ。「水防災総合情報システム」とYouTube「水防チャンネル」で24時間配信されています。見る

観光・神社仏閣

観光協会や神社が独自に運営しているカメラです。季節限定のものや常設のものが混在します。

No.名称概要リンク
5千鳥ヶ淵ライブカメラ千代田区観光協会が運営。千鳥ヶ淵ボート場屋上に設置され、「千代田のさくらまつり」期間中(例年3月下旬〜4月上旬)のみ桜の様子を配信します。見る
6神田明神 公式ライブカメラ神社公式サイトが常設するライブカメラです。見る
7靖国神社境内の様子を映すYouTube配信。夜間は配信を停止します。見る

街並み・交通

個人・団体が設置しているYouTube配信を中心に、区内各所の街並みや交差点を映すカメラです。

No.名称概要リンク
8神田駅北口交差点中央通りの交差点を映すYouTubeライブ配信。見る
9秋葉原駅付近(中央通り)秋葉原駅周辺の中央通りを映すライブカメラ。見る
10秋葉原 中央通り交差点中央通りの交差点を映すYouTube配信。見る
11秋葉原 中央通り別チャンネルによる中央通りのYouTube配信。見る
12秋葉原駅北側秋葉原駅北側の様子を映すYouTube配信。見る
13東京駅(日テレ)日本テレビによる東京駅を映すYouTube配信。見る
14東京駅丸の内口エリア丸の内駅舎(赤レンガ駅舎)周辺を映すYouTube配信。見る
15東京駅(有楽町カーブ)新幹線・在来線が走る有楽町カーブ付近を映すYouTube配信。見る
16東京駅八重洲口 タクシー乗り場東京タクシーセンターが提供する、八重洲口タクシー乗り場の待機状況カメラ。見る
17霞が関官庁街の街並みを映すYouTube配信。見る
18千代田区内幸町内幸町一帯の街並みを映すYouTube配信。見る
19弁慶橋ボート場弁慶濠(外濠)を映すYouTube配信。見る
20首都高 竹橋JCT付近首都高速都心環状線・竹橋JCT付近を映すYouTube配信。見る
21千代田区麹町(新宿通り)新宿通り沿いの麹町を映すYouTube配信。見る
22外神田ライブカメラウェザーニュース「Myライブカメラ企画」による個人設置カメラ。気温・天気データ付きで配信されています。見る
千代田区内には、区・都が運営する防災用カメラから、神社仏閣の公式カメラ、街並みを映す個人配信まで、性格の異なるライブカメラが数多く公開されています。

出典

  1. 千代田区河川情報システム(chiyoda-kasen.tenki.ne.jp)
  2. 千代田区ホームページ「高所カメラ」(city.chiyoda.lg.jp)
  3. カメ探「千代田区のライブカメラ」(cametan.com)
  4. ウェザーニュース「千代田区外神田のライブカメラ」(weathernews.jp)
  5. 東京都オープンデータカタログサイト「河川監視カメラ位置情報データ」(東京都建設局)

※ 掲載情報は2026年9月時点で確認できたものです。配信の有無・URL・配信時間帯は変更される場合がありますので、最新の状況は各リンク先でご確認ください。

2026-08-27 20:01:00

AIと一緒にMicrosoftの道具箱をひっくり返してみた

AIと一緒にMicrosoftの道具箱をひっくり返してみた

――会員サイトを作ろうとして見えてきた、つながる仕組み

会員サイトの設計をもとに、SharePoint、Teams、Forms、Power Automate、Entra ID、Purview、AzureなどMicrosoftのサービスをつないでいく仕組みを表したインフォグラフィック
会員サイトの設計を先に考え、その実現に必要なMicrosoftの道具を一つずつ探してつないでいきました。

この記事の要点

Digital Supporters Clubの会員サイトを作るために、 まず設計書を書き、その設計を実現する道具をMicrosoftの製品群から探していきました。

そこで分かったのは、Microsoft 365にはたくさんの機能が揃っているだけではなく、 管理者側で認証や権限の仕組みを理解すると、それぞれをつなげて一つのサービスとして使える ということでした。

そして今は、分からないことを一緒に調べ、設計し、試してくれる ChatGPTやClaudeのような「技術に詳しい同僚AI」がいます。

プログラマーとして仕事をしてきたわけではない私でも、 AIと一緒に確認しながら、実際に仕組みをつないで動かすところまで体験できました。

この記事を貫く4つのポイント
  1. 最初に作ったのは、Microsoftの勉強計画ではなく会員サイトの設計書
  2. Microsoftの強さは「道具が多い」だけでなく「道具同士がつながる」こと
  3. 管理者側を理解すると、認証・権限・監査まで含めて一つの仕組みにできる
  4. AIと一緒なら、知らない技術も調べ、確認し、試しながら理解できる

1.最初に作ったのは、会員サイトの設計書だった

Digital Supporters Clubでは、

「AIと、一緒に。書いてみたいことを、形にしよう。」

という考え方で、小説、エッセイ、自分史、思い出、体験などを書いてみたい人が、 少しずつ自分の言葉を形にしていける場所を作ろうとしています。

今回の出発点は、 Microsoft 365を勉強することではありませんでした。

最初に考えたのは、

どんな会員サイトにしたいのか

ということです。

会員には、自分だけの原稿を書く場所がある。

書いたものを保存して、続きを書ける。

完成した作品は、ほかの会員に公開できる。

ほかの会員は作品を読めるけれど、 勝手に編集することはできない。

読んだ人は感想を残せる。

作品を取り下げても、元の原稿は残す。

届いた感想も大切に残す。

こうしたことを一つずつ設計書に書いていきました。

会員サイトの中心となる体験は、

書く
↓
保存する
↓
続きを書く
↓
公開する
↓
感想が届く
↓
また書く

という流れです。

つまり、 製品から考えたわけではありません。

先に「こうしたい」という設計があり、
そのあとで必要な道具を探した。

この順番でした。

設計ができたところで、

「さて、これを実現するには何を使えばいいのだろう」

と、Microsoftの道具箱をひっくり返してみました。

2.中心に置いたのはSharePointだった

最初に中心になったのはSharePointでした。

以前の私にとってSharePointは、 どちらかというと、

会社でファイルを共有する場所

という印象でした。

ところが、自分で管理者側から触ってみると、 ずいぶん違って見えました。

文書を保存できる。

フォルダを作れる。

履歴も残せる。

そして、 誰に見せるのか、 誰に編集させるのかを細かく決めることができます。

そこでDigital Supporters Clubでは、 SharePointの中に、

自分の作品を書く
本人専用

みんなの作品
会員向け公開

という二つの場所を分けて作ることにしました。

本人専用の場所は、 本人と管理者だけがアクセスできます。

公開側では、 作者は自分の作品を編集できる。

ほかの会員は読むことはできるけれど、 編集することはできない。

つまりSharePointを単なるファイル置き場としてではなく、

会員サイトの情報と権限の中心

として使うことにしました。

ここまで来ると、 次の疑問が出てきます。

入会申込はどうするのか。

会員をどう識別するのか。

承認はどうするのか。

感想はどこで受け取るのか。

管理作業が増えたらどうするのか。

そこで、Microsoftの道具箱をさらにひっくり返していきました。

3.道具箱から、これだけのものが出てきた

今回の会員サイトづくりで登場した主なMicrosoftのサービスを並べてみます。

自分でも、こうして一覧にすると驚きます。

製品・機能 今回の役割
SharePoint Online 会員サイトの中心。原稿、公開作品、アクセス権を管理する
Microsoft Teams お知らせや、作品への感想をやり取りする
Microsoft Forms 入会申込を受け付ける
Power Automate Forms、承認、通知などの処理をつなぐ
Approvals 管理者が入会を承認・却下する
Microsoft Entra ID 会員やアプリの「身元」と「できること」を管理する
Microsoft Graph Microsoft 365の情報をプログラムから扱うための窓口
SharePoint REST API SharePointをプログラムから操作するための窓口
Microsoft Purview Audit Microsoft 365上で行われた操作の記録を確認する
Azure Functions DSC Builderのプログラムを動かす
Azure Key Vault 証明書やAPIキーなどの秘密情報を保管する
Managed Identity Azureのサービス同士を、パスワードを直接渡さず認証する仕組み
Application Insights プログラムの実行結果やエラーを確認する
Sites.Selected アプリが操作できるSharePointサイトを限定する仕組み

もちろん、 これらすべてがMicrosoft 365 Business Basicの料金だけに含まれているわけではありません。

Azure FunctionsやKey Vaultなど、 Azure側のサービスは別途従量課金です。

Purviewについても、 利用できる機能やログの保持期間などはライセンスによって異なります。

それでも、 会員サイトの中心となるSharePoint、Teams、Formsなどを、 比較的低価格なMicrosoft 365のプランから使い始めることができます。

2026年8月現在、 Teamsを含むMicrosoft 365 Business Basicは、 Microsoft公式サイトで年間契約の場合、

1ユーザーあたり月額1,049円相当、税別

と案内されています。

最近は、お昼を食べても1,000円を超えることが珍しくありません。

ランチ1回ほどの金額で、 これほど大きな道具箱を毎月使える。

これは、あらためて考えるとかなりすごいことだと思います。

Microsoft公式「Microsoft 365 Business Basic」

4.本当に驚いたのは「道具の数」ではなく「つながること」

ただ、今回いちばん驚いたのは、 Microsoftに製品がたくさんあることではありませんでした。

それらを、つなげて使えることです。

Digital Supporters Clubでは、 たとえばこんな流れになります。

Microsoft Forms
入会申込

↓

Power Automate / Approvals
管理者による承認

↓

Microsoft Entra ID
会員を識別

↓

SharePoint
書く・保存する・公開する

↓

Teams
感想を受け取る

↓

Azure Functions
管理作業を支援する

↓

Key Vault
秘密情報を守る

↓

Application Insights
処理結果を確認する

↓

Microsoft Purview Audit
利用の記録を見る

Purviewでは、 Microsoft 365上で行われた操作の記録を確認できます。

Digital Supporters Clubでは将来的に、 SharePointのページを見た、 ファイルを開いた、といった記録から、

「この会員が最後にDigital Supporters Clubを利用したのはいつか」

を確認することまで設計しています。

現在の試作では、 まずSharePointの読み取りと新規会員セットアップまでを作っています。

Purviewとの自動連携は、 その試作を評価してからの次の段階です。

それでも、

入会する
↓
本人を識別する
↓
書く
↓
保存する
↓
公開する
↓
感想を受け取る
↓
管理する
↓
何が起きたかを記録する

ここまでをMicrosoftのサービスで一本につなげられる。

これが、 道具箱をひっくり返してみて一番驚いたことでした。

5.管理者側に立って、初めて「つなげ方」が見えた

そして今回、 もう一つ大きな発見がありました。

それが、

Microsoft 365を管理者側から見たこと

です。

大きな組織や行政でMicrosoft 365を使っていると、 管理者の仕事は情報システム部門やベンダーが担当することが多いと思います。

一般の利用者には、 必要な機能だけが提供されます。

Teamsはこちら。

SharePointはこちら。

このフォルダを使ってください。

それは、安全に運用するためには当然のことです。

ただ、それだけを使っていると、

Microsoft 365という仕組みが、本来どこまでできるのか

は、なかなか見えてきません。

私自身もそうでした。

今回、自分で管理者側に入り、

  • 外部の人をどう参加させるのか
  • 誰にどの権限を与えるのか
  • アプリからSharePointへどう接続するのか
  • アプリにはどこまで操作を許すのか
  • 何が行われたかをどこで監査するのか

と、一つずつ見ていきました。

そこで初めて分かったことがあります。

サービス同士をつなぐには、
機能を知っているだけでは足りない。
認証と権限を理解する必要がある。

FormsとPower Automateをつなぐ。

Entra IDとSharePointをつなぐ。

Azure FunctionsとMicrosoft 365をつなぐ。

Purviewで、その利用記録を見る。

こうした接続には必ず、

  • 誰が接続しているのか
  • 何をすることが許されているのか
  • どこまでアクセスしてよいのか

という問題が出てきます。

ここを理解できるようになったことで、 Microsoftの各製品が、 ばらばらのアプリではなく、

一つのシステムを作るための部品

として見えるようになりました。

そして管理者権限についても、 印象が変わりました。

管理者権限は、 何でもできるようにするための権限ではありません。

必要な人に、必要な範囲だけ権限を与えるために使う。

今回のDSC Builderでも、 Microsoft 365全体を自由に操作できるようにはしていません。

Digital Supporters ClubのSharePointサイトだけに、 操作できる範囲を限定しました。

管理者側を知ることで、

「何ができるか」だけではなく、
「どこまでできるようにするか」を設計できる。

そして、それがサービス同士を安全につなぐことにつながります。

6.APIも、実際につないでみて分かった

サービス同士をつないでいく中で、 これまで少し遠い言葉だった「API」の意味も、 だんだん実感として分かるようになりました。

APIとは簡単に言えば、

プログラム同士が情報をやり取りするための窓口

です。

普段Webサービスを使っていると、 私たちが見るのは表側です。

ブラウザを開く。

ボタンを押す。

入力する。

保存する。

その裏側で、 プログラム同士がどう話しているのかを見る必要はありません。

今回、自分でDSC Builderを作って、 初めてAPIが実感として分かりました。

私がAIに、

「この会員のSharePointフォルダを準備して」

と頼む。

AIが専用APIへ依頼する。

Azure Functionsで動いているプログラムが、 SharePointのAPIへ依頼する。

SharePointが処理する。

そして結果が戻ってくる。

そこで、

「ああ、APIというのは、プログラム同士が話をするための窓口なんだ」

と腑に落ちました。

教科書で定義を読むより、 自分でつないで動かしてみる方がずっと分かりやすかったのです。

Azureについても同じでした。

プログラムを動かす
Azure Functions

秘密情報を守る
Key Vault

実行状況を見る
Application Insights

というように、 必要な機能をサービス単位で組み合わせました。

Azureを使っているのに、 あまり「サーバーを作っている」という感覚がありません。

これも実際に触ってみて初めて分かったことでした。

7.AIは、技術に詳しい同僚のようだった

ここまでできた背景には、 もちろんAIがあります。

私はプログラマーとして仕事をしてきたわけではありません。

今回も、

  • API
  • REST
  • Entra ID
  • 証明書認証
  • Managed Identity
  • Sites.Selected

と、知らない言葉が次々に出てきました。

以前なら、 そのたびにマニュアルを探していたと思います。

説明を読む。

分からない言葉が出てくる。

その言葉を検索する。

すると、また知らない言葉が出てくる。

どこかで、

「これは自分には難しい」

と思っていたかもしれません。

今は、ChatGPTやClaudeに、

  • 「そもそもAPIって何?」
  • 「なぜここに認証が必要なの?」
  • 「この権限は広すぎない?」
  • 「今の構成を初心者にも分かるように説明して」

と、その場で相談できます。

そして、 単に答えを教えてもらうだけではありません。

一緒に設計を考える
↓
設定する
↓
エラーの原因を考える
↓
公式資料を調べる
↓
実際に動かして確認する
↓
また修正する

今回の感覚に近いのは、

技術に詳しい同僚AIが隣にいて、一緒に作業している

というものでした。

もちろん、 AIの答えがいつも正しいとは限りません。

特に認証や権限、 Microsoftのサービス仕様のような重要な部分は、 Microsoftの公式資料を確認し、 最後は実際の環境で動作を確かめる必要があります。

今回も、

AIに聞く
↓
公式情報を確認する
↓
実際に試す
↓
結果を見る

ということを何度も繰り返しました。

AIに全部任せるのではなく、

詳しい同僚と一緒に考えながら、
自分自身も理解していく。

そんな使い方が、 確かに私には合っていました。

8.今回一番大きかったのは、管理者側を自分で触ったこと

今回の会員サイトは、 まだ開発の途中です。

でも、0次開発をやってみて、 自分の中ではMicrosoft 365の見え方がかなり変わりました。

以前なら、

SharePointはファイル置き場
Teamsは会議やチャット
Azureはエンジニアが使うもの
APIはプログラマーの世界
管理者画面は専門家やベンダーが触るもの

そんなふうに、 別々のものとして見えていました。

今回、先に会員サイトの設計書を書きました。

その設計を実現するために、 Microsoftの道具箱をひっくり返しました。

必要な道具を見つけました。

そして管理者側に入り、 認証や権限を理解しながら、 それぞれをつないでみました。

分からないところはAIと一緒に調べました。

公式資料でも確認しました。

そして実際に動かしました。

そこで一番強く感じたのは、

Microsoft 365は、
用意された機能を利用者として使うだけでは、
ほんの一部分しか見えない。

ということです。

もちろん、 組織で利用するときに管理者権限を誰にでも渡すべきだとは思いません。

強い権限だからこそ、 厳しく管理する必要があります。

ただ、自分で何かサービスを作ろうとするなら、

管理者側で何ができるのかを、
自分自身でも理解しておくことはとても大切だ。

と今回あらためて感じました。

管理者の部分をすべてベンダーに任せれば、 安全で楽な面もあります。

でも、それだけでは、

  • このサービスと、このサービスはつなげられる
  • ここまで権限を絞れる
  • このログを使えば、こんな運用ができる

という発想そのものが出てこないことがあります。

今回、管理者権限を持ってMicrosoft 365の中を実際に見たことで、

たくさんの道具があることだけでなく、
その道具をどう安全につなげれば
一つのサービスになるのか

が、少しずつ分かってきました。

月1,000円ほどのMicrosoft 365の道具箱。

必要な分だけ使えるAzure。

そして、 分からないところを一緒に考えてくれる同僚AI。

これらも大きな助けでした。

でも、今回の経験から私が最後に残したいのは、 もっと単純なことです。

自分でサービスを作りたいなら、
管理者側を人任せにしすぎず、
一度は自分で触って、何ができるのかを知っておく。

そして、 強い権限だからこそ、 その意味を理解し、 必要な範囲に絞って使う。

そのことの大切さを、 Digital Supporters Clubの会員サイトづくりを通して、 あらためて実感しました。

参考にした公式情報

この記事は、Microsoft製品を網羅的に解説することを目的としたものではありません。 Digital Supporters Clubの会員サイトを実際に設計し、必要なMicrosoftのサービスを一つずつつないでいった体験 をもとに書きました。
さて、Club会員サイトのメーキングストーリーはこのぐらいでお終いにします。
次回以降は、AI小説制作のテクニカルなお話をしたいと考えています。

2026-08-23 20:51:00

Claude in Chrome と GPTを比べてみた

Claude in Chrome と GPTを比べてみた

――AIに仕事を任せる、二つのまったく違う方法

Claude in ChromeとGPTという二つのAIエージェントの仕組みや特徴を比較したインフォグラフィック
ブラウザを直接操作するClaude in Chromeと、APIを通じて専用の仕事を行うGPT。二つは同じAIエージェントでも、設計思想が大きく異なります。

この記事の要点

前回までの記事で、Digital Supporters Clubの運営を支援する 「DSC Builder GPT」をつくってきました。

SharePointに会員用のフォルダをつくり、 決められたアクセス権を設定し、 最後に本当に正しく設定されたかを確認する。

ようやく、実際に動くところまでたどり着きました。

そこで今回は少し視点を広げ、 私が実際に作ったり使ったりした二つのAIエージェントを比較します。

一つは、今回つくったDSC Builder GPTのように、 APIを通じて、あらかじめ決められた仕事を行うタイプ。

もう一つは、Claude in Chromeのように、 AIがブラウザを見ながら人間の代わりに画面を操作するタイプです。

これは「ClaudeとGPTのどちらのAIモデルが賢いか」という比較ではありません。

Claude in Chromeというブラウザ操作型のAIエージェントと、 Custom GPT+Actions/APIでつくった専用型AIエージェントの比較です。

この記事を貫く4つの比較軸
  1. GPT型は「サービスをAIへつなぐ」
  2. Claude in Chrome型は「AIがサービスへ出かけていく」
  3. 自由度と安全性では、手綱を置く場所が違う
  4. どちらが優れているかではなく、向いている仕事が違う

1.そもそもAIエージェントとは何なのか

私は、AIエージェントを難しく考えず、

自分の代理人として、実際の仕事までしてくれるAI

と考えると分かりやすいと思っています。

これまでChatGPTを使うときは、 プロンプトで相談することが中心でした。

「これについて調べて」

「どうすればいい?」

「文章を書いて」

「SharePointではどう設定すればいい?」

AIが答えてくれる。

しかし、その答えを読んで、 実際にSharePointを開いて操作するのは自分です。

つまりAIは非常に優秀な相談相手でしたが、 仕事は最後に人間へ戻ってきました。

AIエージェントでは、 この関係が少し変わります。

「どうすればいい?」ではなく、
「これをやっておいて」と頼める。

たとえば、

「この会員が使うフォルダを準備しておいて」

と頼む。

するとAIが、自分の代わりにシステムへ働きかけ、 実際に仕事を進めます。

私はこの、

「教えて」から「やっておいて」への変化

が、AIエージェントを理解する一番分かりやすい入口だと思っています。

2.GPTが登場したとき、「AIのApp Store」が始まるように見えた

ここで少し時間を戻します。

OpenAIがGPTsを発表したのは、2023年11月でした。

特定の目的に合わせたChatGPTを、 専門的なプログラミングをしなくても作れる。

それを他の人と共有できる。

さらにActionsを使えば、 外部のAPIにつなぎ、 データを取得したり、 外部システムを動かしたりすることもできる。

そして、それらのGPTを探して使える 「GPT Store」も発表されました。

2024年1月にGPT Storeが公開されたときには、 OpenAIによれば、すでに300万を超えるカスタムGPTが作られていました。

当時は、

これからChatGPTそのものが、一つの大きなプラットフォームになっていくのではないか

という期待が大きく広がりました。

スマートフォンにアプリを追加するように、 ChatGPTの中にさまざまな専門GPTが並ぶ。

旅行のGPT。

会計のGPT。

教育のGPT。

会社独自のGPT。

そして必要なら、 それぞれが外部サービスのAPIにつながる。

考え方としては、

世の中のさまざまなサービスを、AIの側へつないでいく

方向です。

今回つくったDSC Builder GPTも、 まさにこの考え方の延長にあります。

3.DSC Builder GPT――「できる仕事」を先に定義する

DSC Builderでは、 GPTからSharePointを自由に操作できるようにはしていません。

たとえば、

「DSC0007として、この会員を準備して」

と頼む。

GPTは専用APIへ依頼します。

API側では、

  • どのSharePointサイトを操作できるか
  • どのフォルダを作れるか
  • どんな会員番号を受け付けるか
  • どんな権限を設定できるか

を、あらかじめ決めています。

つまりGPTに「何でもできる道具」を渡すのではなく、 必要な仕事だけを実行できる道具を用意する考え方です。

DSC Builderでは、さらに、

Plan
↓
人間が確認
↓
Apply
↓
Verify

という流れをつくりました。

まず何を変更するか計画を出す。

私が確認する。

それから実行する。

最後に本物のSharePointから状態を読み直し、 予定と実際が一致したらPASSにする。

ここでは、 AIの自由度を意図的に小さくしています。

AIが走れる道路を先につくり、
その道路の上だけを走らせる。

そんな方法です。

4.Claude in Chrome――AIが既存のサービスへ出かけていく

Claude in Chromeは、 これとはほとんど逆の発想です。

こちらでは、 SharePoint専用APIを私が用意する必要はありません。

自分でSharePointの管理画面へログインする。

その状態で、

「この設定を確認して」

「ここを変更して」

と頼む。

するとClaudeが、 人間と同じように画面を見ながら進みます。

メニューを探す
↓
クリックする
↓
次の画面を開く
↓
入力する
↓
保存する

つまりGPT型が、

サービスをAIへつなぐ

仕組みだとすれば、 Claude in Chromeは、

AI自身が、サービスのところまで出かけていく

仕組みです。

この違いは、 かなり大きいと思います。

APIが用意されていない社内ツールや、 古いシステムや管理画面でも、 ブラウザで操作できるのであれば、 AIが人間と同じ画面を使える可能性があります。

言い換えるなら、

ブラウザそのものを、巨大な共通インターフェースとして使ってしまう

発想です。

5.二つを比較すると、こうなる

比較項目 DSC Builder GPTのようなAPI型 Claude in Chromeのようなブラウザ型
基本思想 サービスをAIへAPIで接続する AIが既存のWebサービスへ行く
操作方法 APIを直接呼び出す 画面を見てクリック・入力する
事前準備 API、認証、スキーマなどの開発が必要 拡張機能を使い、対象サイトへログインすれば始めやすい
開発知識 比較的必要 少なくて済む
操作できる範囲 あらかじめ定義した範囲 ブラウザで到達できる範囲が広い
自由度 低い 高い
実行速度 APIなので比較的速い 画面操作なので相対的に遅い
UI変更の影響 比較的小さい 画面構成変更の影響を受けやすい
APIのないシステム 原則として苦手 強い
同じ処理の反復 得意 可能だが画面状態に左右されやすい
操作範囲の制限 API側で強制しやすい 権限モード、サイト権限、ブラウザ権限などで管理
安全性の考え方 API・権限・処理フロー自体を設計段階で制限 Manual / Auto / Skipから承認・自動チェックのレベルを選択
結果検証 Expected / ActualをAPIで比較しやすい 画面や実行結果を再確認する形になりやすい
監査・ログ operationIdなどで構造化しやすい ブラウザ操作・実行履歴が中心になりやすい
向いている仕事 定型・反復・重要な業務 探索的・臨時・幅広いWeb作業
最大の魅力 確実性と制御 自由度と導入の簡単さ
最大の弱点 作るのが大変 自由である分、監督や安全設定が重要

この表をつくってみると、 単なる「便利さ」の違いではないことが分かります。

システム設計の思想そのものが違う。

のです。

6.Claude in Chromeを先に使ったから、DSC Builderをつくろうと思った

実際の順番としては、 私はDSC Builderより先にClaude in Chromeを試しました。

最初に動かしたときは、 かなり驚きました。

SharePointの管理画面をClaude自身が開き、 設定を探し、 クリックしていく。

私はほとんど見ているだけです。

「これなら、わざわざ専用のアプリをつくらなくてもいいのではないか」

とも思いました。

何しろ、準備が簡単です。

私がSharePointへログインできればいい。

細かな画面操作を全部覚えていなくても、 Claudeが探してくれます。

これは非常に大きなメリットです。

一方、しばらく見ていると、 少し違う面も見えてきました。

目的の場所を探す
↓
クリックする
↓
反応を待つ
↓
違う場所へ行ったら戻る
↓
必要ならもう一度試す

人間がブラウザを操作するのと同じなので、 ときどき少しモタモタします。

セキュリティ確認のポップアップが出れば、 そこで止まることもありました。

さらに初期には、 権限グループを誤って削除してしまったこともありました。

それ以降、

  • 今回は確認だけ
  • まだ変更しない
  • 実行前に確認する

と指示を明確にするようになりました。

この体験から、

毎回同じことをする管理作業なら、
自由に画面を操作させるより、
できる操作を最初から限定した専用の仕組みをつくった方がいいのではないか

と思ったのが、 DSC Builderをつくる一つのきっかけでした。

7.自由度と安全性は、どうしても表裏一体になる

ブラウザ型の最大の魅力は自由度です。

しかし、その自由度は、 そのまま注意すべき点にもなります。

Claude in Chromeは、 ログインしているWebページを直接操作できます。

そのため、ブラウザ型AIでは、 Webページやメールなどの中に埋め込まれた指示をAIが誤って受け取る 「プロンプトインジェクション」のようなリスクも考える必要があります。

Anthropicは、安全分類器や権限制御などの対策を用意していますが、 ブラウザを直接操作する以上、 自由度と安全性のバランスは重要になります。

現在のClaude in Chromeには、 3種類の権限モードが用意されています。

Manual

操作ごとに人間の確認を求めながら進めるモードです。

Auto

Claudeに作業を進めさせつつ、 危険と判断された操作は安全分類器によって自動的にブロックするモードです。

Skip

確認や自動チェックを行わずに進めるモードです。

つまりブラウザ型のAIでも、

どこまで人間が手綱を握るかを、利用者が選ぶ

考え方になっています。

一方、DSC Builderでは、 安全装置の考え方が少し違います。

そもそも危険な操作へ行ける道を用意しない。

別のSharePointサイトは操作できない。

任意のURLは受け付けない。

できる操作も決まっている。

つまり、

ブラウザ型
広い世界を歩けるAIを、どう安全に監督するか

API型
歩ける世界そのものを、最初から狭く設計するか

という違いがあります。

8.「GPTがプラットフォームになる」という未来と、別の未来

ここが今回、 一番面白いと思ったところです。

GPTが登場した2023年には、

ChatGPTの中に、あらゆる専門アプリが集まってくる

ような未来が見えました。

GPT Storeがあり、 専門GPTが並び、 それぞれが外部APIへ接続する。

ユーザーはまずChatGPTへ来て、 そこから必要なサービスを使う。

これは、

AIがプラットフォームになる未来

です。

しかしClaude in Chromeを使ってみると、 まったく別の未来も見えます。

今あるWebサイトや業務システムは、 そのままでいい。

SharePointも、そのまま。

管理画面も、そのまま。

人間向けにつくられた画面を、 AIも操作できるようになればいい。

つまり、

既存のソフトウェアをAI向けにつくり直さなくても、
AIが人間向けの画面を使えばいい。

という未来です。

これはかなり発想が違います。

GPT型
AIのところへ、サービスを持ってくる

Claude in Chrome型
サービスはそのままにして、AIをそこへ送り込む

私は、今回実際に両方を触ったことで、 この違いがとてもはっきり見えました。

9.では、どちらが向いているのか

ここまで比較すると、

「では、結局どちらが正しいのか」

という話になります。

しかし私は、 今のところどちらか一方になるとは思っていません。

むしろ仕事によって分かれるのではないかと思います。

API型が向いている仕事

  • 毎日、毎週、毎月、同じ処理をする
  • 権限や個人情報を扱う
  • 失敗したときの影響が大きい
  • 実行履歴を残したい
  • 同じ結果を安定して繰り返したい

ブラウザ型が向いている仕事

  • 一度しかやらないかもしれない
  • どの画面へ行くか事前に分からない
  • APIが提供されていない
  • 古い管理画面を使わなければならない
  • いろいろなWebサービスを横断したい

今の段階では、

定型業務は専用型。
探索的な仕事はブラウザ型。

という使い分けが、 かなり自然に思えます。

そして将来、 この二つが近づいていく可能性もあります。

最初はブラウザ型AIに自由に仕事をしてもらう。

よく使う仕事が見えてきたら、 それを専用のAPIやワークフローへ落とし込む。

あるいは逆に、 専用APIでは対応できない例外だけをブラウザ型へ渡す。

そんな組み合わせも考えられます。

10.Microsoftの仕組みを一通り使ってみて分かったこと

DSC Builderをつくるために、 今回はMicrosoftのさまざまなサービスを実際に使いました。

  • SharePoint
  • Microsoft Entra ID
  • Azure Functions
  • Azure Key Vault
  • 証明書
  • API
  • OpenAPI

以前から名前は知っていたものもあります。

でも、自分で組み合わせて本当に動かしてみると、 理解の仕方がまったく違います。

「ああ、Entra IDというのは、 AIにこういう身分証を持たせるためにも使えるのか」

「Key Vaultは、 この秘密をここに置くためにあるのか」

「APIというのは、 単にシステム同士をつなぐだけではなく、 AIが安全に仕事をするための“道”にもなるのか」

それまで単なる製品名だったものが、 一つの仕組みとしてつながりました。

もちろん、かなり面倒でした。

動かない。

直す。

また試す。

今度は別のところで止まる。

それでも、 自分がChatGPTへ、

「DSC0007を準備して」

と頼む。

すると、自分でつくった仕組みを通って、 本当にSharePointが動く。

これは、やはり面白い体験でした。

11.「AIが何をできるか」より、「どう仕事を渡すか」

今回、Claude in ChromeとDSC Builder GPTを比べてみて、 AIエージェントについての見方が少し変わりました。

重要なのは、

「AIはどこまで賢くなるのか」

だけではないのだと思います。

むしろ、

私たちはAIへ、どんな形で仕事を渡すのか。

そこが、これから大きなテーマになりそうです。

自由に画面を動かしてもらうのか。

専用のAPIを用意するのか。

どこまで任せるのか。

どこで人間が確認するのか。

手綱を人間が握るのか。

それとも、 手綱そのものをシステムの中へ組み込むのか。

2023年にGPT Storeが発表されたとき、 私は「AIの中にさまざまなアプリが集まる未来」を想像しました。

そして今回Claude in Chromeを使ってみて、

アプリをAIの中へ集めなくても、
AIが今あるアプリを使いに行けばいい。

という、もう一つの未来があることに気づきました。

どちらが主流になるのか。

それとも、 この二つが混ざっていくのか。

今の段階では、 まだ分かりません。

ただ、実際に作ったり使ったりしてみると、

AIエージェントという言葉の中で、
すでにかなり違う未来の形が競い始めている。

そんなことを感じています。

2026-08-17 22:12:00

ものづくりの時間が変わった――「文明の夜明け」を感じた

ものづくりの時間が変わった――「文明の夜明け」を感じた

――SharePoint版への第2章、そのとっかかりで「文明の夜明け」を感じた

AIがコードを書き、模擬SharePointを構築し、ユニットテストを実行。人間が実際のSharePoint環境で確認し、AIへ結果を返して改善する開発の流れを表したイラスト
AIがコードを書き、ユニットテストまで実行。人間が本物の環境で確かめ、その結果をまたAIへ返していきました。

この記事の要点

私はいま、Digital Supporters Clubという会員制クラブサイトをつくっています。

前回は、Microsoft Power Pagesを使った会員サイトの設計に挑戦し、 AIとの対話を繰り返した結果、 要件定義書から123件のテストケースを持つテスト仕様書までつくりました。

そして次は、SharePointを中心に、 もっと小さく実際に動くものをつくってみよう、と方向を変えました。

今回の出来事は、その第2章へ踏み出した、とっかかりでの体験です。

SharePoint版の運営を少し楽にするために、 会員ごとのフォルダ作成や権限設定を支援する 「DSC Builder」という小さな管理ツールを、 AIと一緒につくることにしました。

そこで私は初めて、 AIに実際に動くコードを全面的に書いてもらいました。

驚いたのは、それだけではありません。

AIは、そのコードを確かめるためのユニットテストまで用意し、 実際にそのユニットテストまで実行したのです。

さらに、テスト用の模擬SharePointまでPythonコードとしてつくっていました。

コードを書く。
テストを書く。
テストする。
問題があれば直す。
またテストする。

そのサイクルが、 私が現役のころに接してきたシステム開発とは、 まるで違う速度で回っていきました。

私はその様子を見ながら、

「自分はいま、文明の夜明けに立ち会っているのではないか」

と本気で感じました。

ところが、ユニットテストが通ったコードを 本物の日本語版SharePointで動かすと、 それでも問題が見つかりました。

そこで見えてきたのは、

AIがつくり、人間が現実に当て、その結果をまたAIへ返す

という、新しいものづくりの姿でした。

この記事を貫く4つの気づき
  1. AIはコードを書くだけでなく、ユニットテストをつくり、実行するところまで進んでいる
  2. AIによって「設計 → 実装 → テスト → 修正」の速度が大きく変わった
  3. ユニットテストが通っても、本物の環境でなければ分からないことがある
  4. AI時代の開発では、人間は「現実との接点」という重要な役割を持つ

今回の経験で強く感じたのは、 AIが単にコードを書くようになったのではなく、 ものをつくり、試し、直し、もう一度つくる時間の流れそのものが変わり始めている ということです。

1.第2章へ踏み出したところで、驚いた

前回の記事では、 Digital Supporters Clubの会員サイトをPower Pagesでつくろうとして、 AIと一緒に要求仕様や設計を考えていったことを書きました。

最初は、もっと簡単につくれると思っていました。

ところがAIと対話を続けるうちに、

「この場合はどうしますか」

「途中で失敗したらどうしますか」

「他の会員から本当に見えませんか」

と、一つ決めるたびに次の問いが出てきました。

その結果、要件定義からデータ設計、画面、権限、運用、 そして123件のテストケースまでつながっていきました。

そして最後に、

Power Pagesへの挑戦が第1章。

次はSharePointを中心に、まずはもっと小さく動くものをつくる。

そう書きました。

今回の出来事は、 その第2章へ踏み出した、とっかかりでの体験です。

SharePoint版をつくり始め、 その運営を少しでも楽にするための小さなツールを AIと一緒につくろうとしました。

その過程で、私は初めて、

AIに実際に動くコードを全面的に書いてもらいました。

しかも、それだけではありませんでした。

AIはユニットテストまでつくり、 実際にそのテストまで実行したのです。

これには、本当に驚きました。

2.残っていた、地味だけれど気の抜けない作業

SharePointとTeamsを使った小さな会員サイトをつくり始めると、 サイトの骨組みは少しずつ形になっていきました。

自分だけが見られる原稿の場所。

クラブの仲間に公開する作品の場所。

作品について感想を届ける場所。

Power Pages版で考えた、

「保存することと、公開することは違う」

「本人の非公開原稿は、他の会員から見えてはいけない」

という考え方も、そのまま引き継ぎました。

ところが実際に運営することを考えると、 一つ地味な作業が残りました。

新しい会員が入る
↓
会員専用のフォルダをつくる
↓
原稿を書く場所をつくる
↓
届いた感想を保存する場所をつくる
↓
公開作品のフォルダをつくる
↓
それぞれに正しいアクセス権を設定する

作業そのものは、それほど複雑ではありません。

でも、間違えてはいけません。

本人だけが読めるはずの原稿が、 別の会員から見えてしまったら大きな問題です。

公開作品についても、 他の会員は読むことはできても、 編集できてはいけません。

会員が増えるたびに、同じ設定を行い、 最後に間違いがないか確認する。

地味ですが、かなり神経を使います。

そこで、この作業を支援する小さな管理ツールをつくることにしました。

名前は、

DSC Builder

です。

たとえば、

「DSC0007番の会員を準備して」

とGPTに伝える。

すると、

必要なフォルダをつくる
↓
権限を設定する
↓
本当にその通りになったか確認する

ところまで支援する。

そんな道具を目指しました。

3.最初は、大きくつくりすぎた

ところが、最初に考えたDSC Builderは、 かなり大きなものでした。

新規会員の準備だけではありません。

  • 長期間利用していない会員を見つける
  • 利用継続を確認する
  • 退会時にはアクセスを停止する
  • 一定期間データを保持する
  • 最後にはデータを削除する

入会から退会まで、 かなり広い範囲を自動化しようとしていました。

設計をレビューしていく中で、

「今の段階で、そこまでつくる必要があるだろうか」

という問いが出てきました。

以前、Power Platformのライセンス費用で立ち止まったときと、 よく似ています。

技術的につくれるか。

それだけではありません。

今、それをつくる意味があるのか。

そこで範囲を大きく縮めました。

まず試すのは、 新しい会員1人を迎えるときのSharePoint設定だけ。

休眠管理も、退会処理も、削除の自動化も、 いったん将来へ送る。

そして設計に、

「作れるものをすべて作る」のではなく、
「効果が確認できた部分だけ次へ進める」

という考え方を入れました。

実際に試す。

本当に楽になるなら続ける。

効果が小さければ、そこで止める。

前回は、仕様書をつくることで、

「このシステムを本当につくるべきか」

を考えることができました。

今回は、AI自身を使った開発にも、 同じ考え方を適用することになりました。

4.本当にコードができた

設計を何度も見直したあと、 AIに実際のコードを書いてもらいました。

ここは、はっきり書いておきたいと思います。

今回、コードそのものは全面的にAIに書いてもらいました。

私はプログラムを一行も書いていません。

私が行ったのは、

  • 何をつくりたいのか
  • どこまでつくるのか
  • どんな場合には処理を止めるのか
  • どんな結果なら成功なのか

そうしたことをAIとの対話で考えることでした。

設計が決まると、AIがコードを書きました。

それまでも、

「AIはコードを書ける」

という話は知っていました。

だから、ここまではある程度想像できました。

でも、本当に驚いたのは、その先でした。

5.AIが、ユニットテストまで実行した

AIは、コードを書いて終わりではありませんでした。

そのコードが正しく動くかを確かめるための ユニットテストも用意しました。

そして、

そのユニットテストを実際に実行しました。
コードを書く
↓
ユニットテストを書く
↓
ユニットテストを実行する
↓
結果を確認する
↓
問題があればコードを直す
↓
またテストする

そこまでが、 ひと続きの開発作業として進んでいったのです。

私は、その様子を見ながら本当に驚きました。

自分がAIと話し合って決めた設計がコードになる。

そのコードを確かめるテストコードもできる。

そして、実際にテストが走る。

「AIはプログラムを書けるらしい」

と外から眺めていたときとは、 まったく違いました。

自分が必要としているシステムのコードが目の前で生まれ、
そのコードに対するユニットテストまで実行されていく。

その体験の重さは、 想像していたものとは違いました。

6.ものを作る時間の流れが変わった

そして、私が一番強く感じたのは、その速さでした。

要件を考える
↓
設計する
↓
コードを書く
↓
テストコードを書く
↓
テストする
↓
問題を調べる
↓
コードを直す
↓
またテストする

それぞれの工程に、人の作業時間が必要でした。

もちろん、AIを使っても、 こうした工程そのものが全部なくなるわけではありません。

違ったのは、

その工程を回す速度です。

私が、

「この場合はどうなる?」

と問いかける。

AIが設計を確認する。

コードを書く。

テストを書く。

テストを実行する。

必要なら修正する。

そして、また次へ進む。

これまで別々の工程だったものが、 対話の中で次々につながっていきました。

私が現役のころに接してきたシステム開発の時間感覚とは、 明らかに違いました。

私は、

「便利になった」

とか、

「少し速くなった」

という感覚では受け止められませんでした。

ものを作るときの、時間の流れそのものが変わった。

そう感じました。

7.AIは、模擬SharePointまでPythonでつくった

さらに驚いたことがありました。

ユニットテストをするとき、 毎回本物のSharePointへ接続していたわけではありません。

AIは、テスト用の模擬SharePointをPythonコードとして書いていました。

たとえば、

  • このフォルダは存在するか
  • フォルダをつくったらどうなるか
  • どんな権限が設定されているか

といったSharePointの振る舞いを、 テスト用のPythonコードの中で再現します。

そして、その模擬SharePointを相手に ユニットテストを実行する。

いわば、小さな「模型のSharePoint」です。

つまりAIは、

実際に使うコードを書く
↓
そのコードを試すための模擬SharePointをPythonでつくる
↓
ユニットテストを書く
↓
ユニットテストを実行する

ところまでやっていたのです。

私はここでも、

AIはコードを書くだけではない

と感じました。

コードをつくる。

そのコードを試すための世界までつくる。

そしてテストする。

だからこそ、

書く
↓
試す
↓
直す
↓
また試す

というサイクルを、 ものすごい速度で回すことができるのだと思いました。

8.ところが、本物のSharePointでは違った

ところが、これだけテストしていても、 本物のAzureとSharePointで動かすと問題が見つかりました。

その一つが、SharePointの権限でした。

最初のコードでは、

「Full Control」

「Edit」

「Read」

という英語の名前を使って、 SharePointの権限レベルを設定しようとしていました。

ところが、私が実際に使っているのは 日本語版のSharePointです。

本物のSharePointから返ってくる表示名は、 日本語でした。

では、なぜユニットテストでは、 この問題を見つけられなかったのでしょう。

9.テストも、同じ前提でつくられていた

理由は単純でした。

実際に動くプログラムも、テスト用の模擬SharePointも、
「権限の名前は英語で返ってくる」という同じ前提でつくられていたからです。

プログラムは、

「Full Control」

を使おうとする。

模擬SharePointも、

「Full Control」

を返す。

だから、ユニットテストはPASSします。

テストの中だけを見れば、何も間違っていません。

ところが、本物の日本語版SharePointでは、 権限の表示名が日本語で返ってきました。

そこで初めて、

「英語の名前で返ってくる」という前提そのものが、
現実とは違っていた

ことが分かりました。

これは、 ユニットテストが役に立たなかったという話ではありません。

ユニットテストは、

「こちらが想定した条件の中で、コードが正しく動くか」

を確かめることには、とても役立ちます。

ただし、

その想定そのものが現実と違っている場合は、
本物の環境で動かしてみなければ気づけないことがある。

今回、私はそれを実際に体験しました。

そこでAIは、 英語や日本語といった表示名に頼るのではなく、 言語に左右されない方法で権限を判定するよう コードを修正しました。

さらに、日本語環境でも正しく判定できることを確認する ユニットテストも追加しました。

模擬SharePointで試す
↓
本物で動かす
↓
現実との違いが見つかる
↓
結果をAIへ返す
↓
AIがコードを直す
↓
テストも直す
↓
また試す

最初のテストで見えていなかった現実が、 本物のSharePointで見つかる。

その現実を、今度はテストの中にも取り込む。

こうしてテストも、 少しずつ現実に近づいていきました。

10.「やり直す」ことにも問題があった

もう一つ、 途中で処理に失敗した場合にも問題が見つかりました。

途中までフォルダができる。

その後で処理が止まる。

初めのコードでは、 その処理を同じ番号でもう一度実行しても、 失敗した結果を返すだけで、 その先へ進めない場合がありました。

そこで、

どこまで処理が進んでいたのかを確認する
↓
安全に再開できる状態か判断する
↓
再開できる場合は、その続きから進める

という形へコードを修正していきました。

この修正コードもAIが書きました。

実際のAzureやSharePointで動かすための コードやコマンドもAIが用意しました。

私は、それを実行します。

返ってきた結果やエラーをAIへ伝えます。

AIが原因を調べます。

コードを直します。

私はまた実行します。

ここでも同じ往復が続きました。

11.AIがつくり、人間が現実に当てる

今回の開発を振り返ると、 人間とAIの役割について、 前回とは少し違うものが見えてきました。

前回は、

人間が目的を示す
↓
AIが設計案を出す
↓
AIがレビューする
↓
人間が判断する
↓
設計を直す

という関係でした。

今回は、その先へ進みました。

人間が目的を示す
↓
AIと設計する
↓
AIがコードを書く
↓
AIが模擬SharePointをPythonでつくる
↓
AIがユニットテストを書く
↓
AIがユニットテストを実行する
↓
人間が本物の環境で動かす
↓
現実との違いを見つける
↓
結果をAIへ返す
↓
AIがコードとテストを直す
↓
もう一度、本物で試す

コードを書いたのは、AIです。

でも、完成品をAIから受け取って終わりではありませんでした。

AIがつくり、人間が現実に当て、その結果をまたAIへ返す。

そんな共同作業になりました。

12.「もう一度、つくり直そう」のコストが下がった

前回の記事で、私は、

AIが変えたのは「考え直すコスト」だった

と書きました。

人間のチームで、

「要件まで戻りましょう」

「設計をやり直しましょう」

と言うのは簡単ではありません。

でもAIとの対話なら、

「待って。この場合はどうなる?」

と思ったところから、 すぐ前へ戻れます。

今回、その先を体験しました。

コードを書いたあとでも、

「この場合は?」

と聞く。

AIが直す。

テストする。

もう一度直す。

つまりAIは、

「もう一度、つくり直してみよう」

と言えるコストまで、 大きく下げ始めていました。

作る
↓
試す
↓
失敗する
↓
直す
↓
もう一度試す

この循環そのものが、とても軽くなった。

私はそこに、 前回とはまた違う大きな変化を感じました。

13.文明の夜明けに立ち会っている

今回の経験を、私は単に、

「初めてAIにコードを書いてもらった」

という出来事としては受け止めていません。

コードを全面的にAIが書いた。

テスト用の模擬SharePointまでPythonでつくった。

ユニットテストを書いた。

そのユニットテストまで実行した。

問題があれば、コードやテストを直した。

その一連のサイクルが、 驚くほどの速度で回っていった。

私はそれを、 ニュースでも、誰かのデモでもなく、 自分が本当につくろうとしている Digital Supporters Clubの開発で経験しました。

そして、その速度を目の前で見たとき、 私が現役のころに接してきたシステム開発との違いを、 頭ではなく実感として感じました。

だから私は、本気で、

文明の夜明けに立ち会っている。

そんな実感を持ちました。

AIによって、 単にプログラミングが便利になったのではない。

人間がものをつくる方法そのものが、変わり始めている。

私はそう感じました。

私はプログラマーではありません。

プログラムも一行も書いていません。

それでも、

何をつくりたいかを考える
↓
AIと設計する
↓
AIがコードを書く
↓
AIがテストする
↓
自分が本物の環境で動かす
↓
違いを見つける
↓
AIへ返す
↓
また直す

その「ものをつくる世界」の中に、 自分も入ることができました。

もちろん、AIが常に正しいわけではありません。

今回も、本物のSharePointへ当てたからこそ 分かったことがありました。

だから、人間の役割がなくなったとは感じません。

むしろ、

AIが猛烈な速度でコードとテストをつくれる時代だからこそ、
現実に当て、違いを見つける人間の役割が、よりはっきり見えてきた。

そう感じています。

Digital Supporters Clubのクラブサイトは、 まだ完成していません。

今回の出来事は、 第2章の本当にとっかかりです。

でも、そのとっかかりだけで、 私はこれまでとはまったく違う ものづくりの速度を経験しました。

作る
↓
使う
↓
気づく
↓
改善する

前回、これからやろうとして書いたこの循環が、 もう実際に動き始めています。

AIと一緒につくる。

現実に当てる。

違っていたら、またAIへ返す。

そして、もう一度つくる。

第2章は、まだ始まったばかりです。

今回の開発で作成した主な設計・実装

  • Digital Supporters Club Phase 0 SharePoint / Teams ゲスト版プロトタイプ設計
  • DSC Builder GPT v0.1 ツール設計
  • Azure / Microsoft Entra ID 構築設計
  • DSC Builder API / Azure Functionsの実装コード
  • SharePointを模擬するPythonテストコード
  • DSC Builderのユニットテスト

今回のDSC Builderでは、 最初からすべてを自動化するのではなく、 まず新規会員のSharePoint利用開始準備に範囲を絞り、 実際にどの程度運営を楽にできるのかを確かめるところから始めました。

そして、この開発を通して、 AIがコードを書き、テストし、 人間が現実の環境で確かめ、その結果をまたAIへ返す という新しい開発の循環を体験することになりました。

Digital Supporters Clubの第2章は、 まだ始まったばかりです。

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